文学中毒 4月 『騎士団長殺し』
こんにちは。
編集部の長嶋です。
月末恒例の『Shopping Addict』、公開しました。
編集部員がガチで欲しいものだけを、主観的に紹介する定番企画です。(いまさら?)
そんなフイナム随一の人気企画にあやかって、好きな小説/文学を紹介してみます。
アンプラグド校了して少しだけ時間もできたことだし。
- 作者: 村上春樹
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2017/02/24
- メディア: 単行本
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村上春樹は自身の長編小説を「総合小説」と呼んでいます。一つの物語の中に、いくつもの筋が存在し、あらゆる要素が詰め込まれたものを「総合小説」というそうです。
例えばミステリーは(例外はあるにせよ)、謎解きというシステムに全体が集約されていて、伏線が回収され謎が明かされながら、読後にはすとんと腑に落ちる感覚を得られます。それは読書の一つの楽しみですが、村上春樹をそういう姿勢で読むと「あれ?」と肩透かしを食らってしまう。
彼が描くのは、観念であり、闇であり、人の感情です。そこにあるのは、明確なオチやどんでん返しではなく、示唆と想像の入り口。形なきイデアと現実の社会とが複雑に絡み合う中で立体的に立ち上がるのが、村上春樹の描く物語なのだと思います。
『騎士団長殺し』は、そんな「らしさ」を存分に備えながら、とても読みやすく、実に美しい流れを持った小説でした。
過去の長編に比べて、タイトに切り詰められていて、すっきりと読みやすかったです。謎が謎としてスマートに機能していて、これは広くオススメできるはず・・・!
作中で丁寧に語られる「創作にまつわる姿勢や考え」には、村上春樹自身の執筆へのアティチュードが反映されているのでしょう。教訓を拾い上げることもできる一方で、茫洋としたイメージだけを心に留めておくのもまた正しい読み方。どのパーツが自分にとって重要なのか、選択できるのも読書の楽しみです。
と、ここまでずらずら書いてみましたが、最後に一つ格言っぽいものを。
「物語を説明する最良のテキストは、その物語の全文でしかない。」
もうほんとこれだけ。ここまで書いといてなんやねん!って感じだけど、やっぱりこれに尽きます。ぜひ読んでみてください。
それでは〜!
編集:長嶋